銀座起業コンシェルジュの若林圭子です。
株式会社や合同会社を設立した後は、法人口座を開設することになります。
法人口座開設とは、法人を設立した後に必ずやる手続きの一つです。
この法人口座の開設ですが、最近なかなかスムーズに開設できない
という状況になってきています。
ではなぜ、法人口座を開設するのが、困難になってきているのでしょうか?
実は、知らないとなかなか口座開設できない落とし穴がいくつかあります。
今回は、会社を設立した後、法人口座の開設手続きをスムーズに進め、
ビジネスがいいスタートを切れるよう、
法人口座開設の落とし穴と注意すべきポイントについてみていきたいと思います。
まず初めに、最近、なぜ法人口座の開設が難しくなってきているのか?
その背景についてみていきましょう。
これは、ズバリ、最近被害が多くなっているオレオレ詐欺の影響です。
オレオレ詐欺からはじまり、最近では色々な手口の
法人名義の口座を用いた振込詐欺がありますよね。
この振込詐欺の影響で、実態のない会社には法人口座の開設はしにくくする
という流れになっています。
そこで、バーチャルオフィスやシェアオフィスなどを本店所在地におくと、
実態のない会社と思われがちになり、スムーズに法人口座を開設できない
などということがおこるのです。
また、固定電話の番号がないことなども実態のない会社と
思われる要因の一つになりますので、注意が必要です。
それでは、その他の注意すべきポイントについてみていきましょう。
法人口座の開設をする際の提出書類は銀行ごとに様々ですが、
提出書類の一つに、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)があります。
履歴事項全部証明書(登記簿謄本)は、会社の重要な情報が載っています。
例えば、本店所在地、資本金、事業目的などが載っており、
これを見れば会社の情報が色々とわかります。
法人口座開設の際、銀行はこの履歴事項全部証明書(登記簿謄本)に
載っている中のいくつかの点をポイントとしてみています。
一体、どこをポイントにしてみているのでしょうか?
ポイント①資本金の額
2016年5月に施行された新会社法のもとでは、
資本金1円でも株式会社は設立できるようになりました。
だからといって資本金1円で株式会社を設立してもいいのか?
というとそういうわけではありません。
やはり様々なデメリットもあります。
(以前の記事→株式会社の資本金1円の落とし穴とは?)
あまりにも少なすぎる資本金は、対外的な信用が得られにくいです。
そして、法人口座の開設においても、これは同様にいえます。
したがって、資本金1円やあまりにも少なすぎる資本金のせいで、
法人口座の開設がスムーズにできなくなる可能性はあります。
銀行によっては、資本金の額で、
法人口座の開設ができないところもあるようなので、
自分が法人口座を作りたい銀行が決まっているならば、
そこに事前に確認してみましょう。
ポイント②事業目的
事業目的の数は何個までにしないといけないといった制約はありません。
ただし、あまりにも多い事業目的は、
事業が不明確になり、相手に不信感を与えてしまいます。
(以前の記事→事業目的の数は多い方がいいのか?)
銀行の担当者があまりにも多い事業目的をみて、
「この会社は一体何をやっている会社なのかよくわからない」
と不信に思う可能性があります。
したがって、あまりにも多い事業目的は注意が必要です。
さらに、事業目的の内容にも注意です。
何か怪しい事業内容が記載されていれば、
法人口座の開設がしにくくなるので、あわせて注意してください。
さて、ここまで落とし穴を絡めながら
注意すべきポイントをみてきました。
「では、一体自分はどこの銀行で
法人口座を開設すればいいのか、悩みます・・・」
とのお声が聞こえてきそうですね。
それでは、ここから法人口座の選び方のポイントについてみていきましょう。
法人口座を開設する銀行には、
メガバンク、地銀、信用金庫、ネット銀行などがあります。
【メガバンク】
メガバンクは、東京三菱UFJ銀行や、みずほ銀行、三井住友銀行などです。
メガバンクにするメリットは、請求書などにメガバンクの口座名が載るので、
取引先に対する信用力が大きいということです。
実際に、私のお客様でも、取引先への信用面を考え
「どうしてもメガバンクで口座開設したい」という方が多くいらっしゃいます。
このようにメガバンクで口座開設したいという方は多いのですが、
実際のところ、口座開設の審査が厳しいです。
審査は厳しいですが、メガバンクで口座開設したい場合には、
上記でお伝えした注意すべきポイントを確認しながら、
法人を設立する段階から対策をしていくことが重要です。
【地銀】
地銀は、千葉銀行、群馬銀行などですが、
メガバンクより口座開設の審査は厳しくないといえます。
地域に密着したビジネスをされる場合や、
メガバンクでは、法人口座の開設が難しいと思われる場合に選ぶ方が多いです。
【信用金庫】
信用金庫は、城北信用金庫や巣鴨信用金庫などです。
自宅または事業所の最寄りにある支店以外では、
ほとんどの場合、口座開設の審査に通らないといわれていいます。
したがって、自宅または事業所の最寄りにある信用金庫の支店で、
スムーズな口座開設をしたいとお考えの場合に選ぶ方が多いです。
【ネット銀行】
ネット銀行は、楽天銀行やジャパンネット銀行などです。
レンタルオフィスを本店所在地にした場合でも、
多くの場合、スムーズに口座開設できます。
取引先に対して、ネット銀行でも問題ないという方や、
ネットショップなどのインターネットでのビジネスをされている方は、
24時間365日インターネット上で振り込みや決済が可能なので、選ぶ方が多いです。
ここまで、法人口座の選び方のポイントをみてきました。
法人口座を開設する際に、一番重要なことは、
自分がどこの銀行で法人口座を作りたいかを決めたら、
その銀行に、法人口座を開設するためには、
どんな書類や資料が必要なのかを確認することです。
それをしなかったために、
「何回も銀行に足を運んだ」
「後から後から追加の書類や資料を提出させられた」
「法人口座を開設するのに時間がかかり、取引が始まっているのに口座開設できていない」
などということが起こるかもしれません。
こういったことを未然に防ぎ、スムーズに法人口座の開設ができるように、
あらかじめ準備しておくことが重要です。
そして、法人口座の開設をスムーズに進めることにより、
会社設立後のビジネスも加速していきましょう。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。