代表取締役は2名でもいいのですか?

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銀座起業コンシェルジュの行政書士若林圭子です。

最近株式会社を設立する際に、増えてきたご依頼について、
今回はお話ししたいと思います。

「最近増えてきた依頼ってどんなものですか?」とのお声が聞こえてきそうですね。

それは、「株式会社を設立する際、代表取締役を2名で考えています」
というものです。

それに伴い、
「そもそも株式会社って代表取締役を2名置くことはできるのですか?」
というご質問も増えています。

そこで、今回は、株式会社の代表取締役は1名ではなくて、複数置けるのか?
ということについてみていきたいと思います。

最初に、代表取締役は誰なのか?ということについてお話ししたいと思います。

代表取締役は、取締役の中から選任され、
株式会社を代表する代表権を持つ取締役です。

つまり、代表取締役とは「取締役の代表」のことです。

では、取締役は誰なのか?というと、
取締役とは、「会社の経営業務をする人」です。

そして、今は取締役1名以上で株式会社を設立できるので、
取締役1名の株式会社はその取締役が代表取締役になります。

代表取締役と取締役はこのような関係ですが、
では、代表取締役を複数置くことはできるのか?というと、

答えは「イエス!」です。

例えば、取締役が2名いる会社の場合、
2名とも代表取締役になることができます。

なぜなら、会社法には、代表取締役の人数を制限する文言がありません。

したがって、代表取締役を2名でも、3名でも、5名でも置くことはでき、
取締役全員が代表取締役になることもできるのです。

しかし、代表取締役を2名置くことのメリット・デメリットもそれぞれあるので、
詳しくみていきましょう。

会社法において、代表取締役は、
「業務に関する裁判外又は裁判上の一切の行為をする権限を有する」
とあります。

したがって、代表取締役が2名いる場合、
それぞれの代表取締役が各自代表権を持っているので、
代表取締役はそれぞれ契約を締結する等の行為ができます。

これは、大きなメリットの一つになります。

仮に、代表取締役2名のうち、1名が何かしらの理由で、
職務から離れてしまった場合、もう1名の代表取締役が契約を締結する等をできるので、
ビジネスチャンスを逃さずに、ビジネスを円滑に進めることができるのです。

一方、実はこれはデメリットにもなる可能性があります。

代表取締役が2名の場合、
会社の意思決定権が複数存在することを意味します。

例えば、どちらか1名の代表取締役が単独で何かを契約した場合、
その契約した代表取締役の代表者印があれば、その契約は有効に成立します。

ということは、2名の代表取締役の意見が合わず、
勝手にどちらか1名の代表取締役がした契約も有効なので、
後で、混乱を招く・・・などということになる可能性もあります。

また、2名の代表取締役の仲がいい時は、全く問題ないのですが、
経営していくうえで、万が一不仲になり、それぞれの意見が異なると、
会社内部でどちらの意見に従えばいいのかわからなくなり混乱する、
ということがおこるかもしれません。

さらに、対外的な面でいうと、
会社の信用にも関わる重要な部分にもなりかねないので、
注意が必要なことがあります。

それは、代表取締役が2名の場合、
「一体どちらの決済によって、ビジネスを進めていけばいいのか?」
と取引先が判断しにくく、迷った結果、ビジネスがうまく進まなくなるということも考えられます。

このようになって、ビジネスがうまく進まなくなるのは
会社にとって大変もったいないことです。

代表取締役が2名の場合は、外部に対しても、決済権者はどちらで、
どちらがどの分野に関しての決定権を持っているのかということを、
それぞれ明確にすることが必要です。

最後に、「代表取締役を2名にした場合、
会社の代表者印(法人実印)は、それぞれ持つものですか?」
という質問も多くいただくので、お話ししておきたいと思います。

では、代表取締役を2名にした場合、
一体、代表社印はどうすればいいのでしょうか?

代表取締役がそれぞれ1つずつ持つのでしょうか?
それとも、1つしか作らず、
代表取締役2名がそれを二人で使いまわすのでしょうか?

実は、どちらを選ぶこともできます。

①どちらか一方の代表取締役のみが法人の印鑑登録を行い、
そのハンコを会社の実印(代表者印)として用いる。

②代表取締役の全員がそれぞれ印鑑登録し、各自代表者印をもつ。

①の場合は、代表取締役二人が話し合いで、
代表者印を押印する人を一人に決めるということです。

②の場合は、それぞれが代表者印を持って、それぞれが各自の代表権を行使するために、
押印するということです。

この、代表者印をどうするか?の問題は、
実際に代表取締役を2名置く会社が、最初に悩む問題の一つといえます。

事前に二人でよく話し合い、どうするかを決めることが、
後々の混乱を回避することになり、大変重要なことです。

ここまで、代表者印をどのようにするかを含めて、
代表取締役を2名にするメリット・デメリットをみてきました。

いかがでしたか?

代表取締役を2名置いている会社は、
大企業だけでなく中小企業でも最近よくみかけます。

しかし、上記のようなメリット・デメリットがあるということをきちんと理解し、
取締役を2名以上置く株式会社の場合は、代表取締役を1名にするのか、
複数にするのかを決めてくださいね。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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