事業目的の決め方のポイントとは?

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銀座起業コンシェルジュの若林圭子です。

先日、立て続けにお客様に聞かれたことがあります。

「事業目的はどんな点に注意して決めればいいのですか?」と。

そこで、今回は事業目的の決め方のポイントについて
一つ一つみていきたいと思います。

最初に、「事業目的とは一体何か?」についてお話ししますね。

「事業目的」は、株式会社を設立する際、
必ず決めなければならない事項の一つです。

株式会社は、どのような事業を行うのかを外部に示す必要があります。

その事業の内容を、文章にして誰が見ても分かるように定款に記載したものを
事業目的といいます。

事業目的は定款に必ず記載しなければならないものです。

そして、会社設立後は、
法務局で履歴事項全部証明書(登記簿謄本)を取得すれば、
誰でも自由に、その会社の事業内容をみることができます。

そこで、「この会社はこのような事業をしている会社なのか」
と確認することができます。

また、会社は、定款に記載された事業内容だけを行うことができるので、
定款に記載していない事業を行うことができません。

だからこそ、注意が必要なのです。

このようにみてくると事業目的を決めるということは大変重要です。

次に、事業目的を決める際のポイントをみていきましょう。

ポイント1 事業目的を多くしすぎない!
事業目的は、何個までしか書けないという制約はないので、
やりたい事業があれば、いくつでも書くことができます。

しかし、事業目的が多すぎると、会社の事業が不明確になり、
それが相手に対する不信感につながる場合もあります。

会社同士の取引では、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)を取得して、
新しく取引を始めようと思っている会社の事業目的を確認することもあるので、
余計な不信感を与えないためにも、あまりにも多すぎる事業目的は注意が必要です。

※事業目的の数の決め方のポイントについては、以前の記事を参考にしてください。
(以前の記事はこちら→事業目的の数は多い方がいいのか?

ポイント2 将来行う予定の事業は、ビジネスプランから逆算して目的に入れる!
事業目的を決める際、会社で今後やりたい事業を、
ビジネスプランから逆算して考えてみましょう。

会社で今後やりたい事業とは、
【今すぐには始めないけど、将来やるかもしれない】事業です。

会社を設立した後に事業目的を追加しようとすると、
まず、株主総会を開き、定款変更を決議しなくてはいけません。

そして、目的は登記事項になるので目的の変更登記もする必要があります。

さらに、変更するごとに登録免許税が3万円かかり、
コストも発生し、手続きも面倒です。

しかし、だからといって、
「今後やりたい事業を全て事業目的に入れておけばいいのか?」というと、
決してそういうわけではありません。

例えば、金融業などの事業目的を記載すると、融資が認められにくい、
ということがあります。

このように融資が認められにくい業種もあり、
融資にも影響するので、事業目的の記載には注意が必要です。

この場合、どのような事業が該当するか、
事前に融資先の金融機関に確認してください。

仮に、会社を設立して20年後にやるかもしれない金融業などの事業を
目的に入れたことにより、設立3年後のビジネスプランとして
融資を考えている場合、「すぐに融資が受けられない」ということにならないためにも、
ビジネスプランから逆算して事業目的を決めることが重要です。

ポイント3 許認可が必要な事業は、必ず事業目的に記載する!
事業の種類によっては、役所への許可や届出が必要になるものがあります。

こういった営業許可を取得するためには、
定款に事業目的を記載する必要があります。

いざ、事業を始めようという時に許可や届出をしていないと、
その事業はできません。

もし、許認可を受けずに事業を行うと、
営業停止などの処分や罰則が課されることになるので、注意が必要です。

ただし、定款に記載したからといって必ずその事業を行えるわけではありません。

許可の種類によっては、目的の記載内容や文言まで決まられているものがあります。

つまり、許認可に適した目的を記載しないと
許認可が受けられないリスクがあるということです。

許認可事業(営業許可が必要な事業)を始める際は、
事前に専門家に相談するか許認可を受ける官公庁に、
どのような文言を記載すればよいか事前に確認することが大変重要です。

ポイント4 ルールを守る!
事業目的を決める際に、守らなければならないルールがいくつかあります。

それは、「適法性」、「営利性」、「明確性」というものです。

それでは、それぞれについて、一つ一つみていきましょう。

・「適法性」
例えば、麻薬の販売等、違法なことを事業にすることはできません。
事業目的の内容は、法令や公序良俗に反していないものでなければいけません。

・「営利性」
例えば、収益を上げられない寄付等の行為だけを唯一の事業目的にすることはできません。
株式会社は株主に対して、会社で得た利益を分配する義務があるので、必ず営利が目的である必要があります。

・「明確性」
例えば、「困っている方を助ける事業」等は、不明確です。
「広辞苑」等に記載があるような一般に広く認知された語句を用い、
ある程度どのような事業をするのかを明確にする必要があります。

ポイント5 最後に一行入れる!
「前各号に附帯する一切の事業」という文言を、
事業目的の最後の一行に必ず入れてください。

これによって、目的の範囲を広げることができ、
対象となる事業の幅が広がります。

さて、ここまでいかがでしたか?

今回は、事業目的の決め方のポイントを5つお話ししました。

事業目的は、定款に記載した事業内容だけを行えるので、
特に注意して決めてくださいね。

必要な事業目的の記載がなかったり、
逆に、いらない事業目的が記載されていることにより、
せっかく始めたビジネスが円滑にまわらなくなる、
なんてことになっては、非常にもったいないです。

したがって、今回お話ししたポイントを踏まえながら、
いいビジネスのスタートが切れるように事業目的を決めてください。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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