株式会社設立のメリットとは?②

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銀座起業コンシェルジュの若林圭子です。

前回、個人事業主の方が株式会社を設立しようと考えた際(法人化しようと考えた際)、
一番気になるといってもいい【節税面でのメリット】について、お話ししました。

そして、個人事業主が納める所得税と
法人が納める法人税(法人所得税)の税率を比較しながら、
法人化するポイントについてお話ししました。

今回はその他にもある株式会社設立のメリットについて、
一つ一つ詳しくみていきたいと思います。

1.対外的な信用度が高い!
個人事業主よりも、株式会社は信用がある、
ということを、皆さんも聞いたことはあると思います。

しかし、最近ではフリーランスが増加していることもあり、
個人事業というだけで、商売上不利になるのか?というと
一概にはそうともいえません。

個人事業でも、高額な取引をしている方もいます。

しかし、そうはいっても、
実際は法人の方が信用面で有利になることが
多いのが現状です。

基本的なことですが、ビジネスは信用を得ることから始まります。

お客様は、相手を信用していなければ、
継続的な取引をしませんよね。

例えば、個人事業主を何十年とやっていて、かなり実績がある方でも、
法人でないと取引できない、といわれることも
実際には少なくないのです。

つまり、「個人事業主とは取引をしない」という会社も
実際に存在します。

それでは、なぜ個人事業主より株式会社の方が、
対外的な信用が高いといえるのでしょうか?

皆さんは、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)というものをご存じですか?

聞いたことがある人や、実際に見たことがある人も
多いのではないでしょうか?

この履歴事項全部証明書(登記簿謄本)ですが、
これは、会社を設立すると取得でき、
そこには会社の重要な情報が載っています。

例えば、資本金や本店所在地や事業目的・・・
など色々なことが載っています。

そして、これを見ると「この会社が一体どんな会社なのか?」
がわかるのです。

したがって、初めて取引しようとする相手の会社の
履歴事項全部証明書(登記簿謄本)を取得することも、
法人同士の取引ではよくあることです。

会社の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)は、
自分の会社のものだけでなく、他の会社のものも、
誰でも自由に取得してみることができます。

会社の重要な情報を誰でも自由に取得してみることができる、
実は、ここが大変重要なポイントなのです。

会社の重要な情報を公の場で開示していることになり、
誰でも、自由に取引したい会社の情報を知ることができるということは、
それだけで信用を得られる理由の一つになります。

さらに、株式会社は決算公告が義務なので、
取引先は会社の財政状況や経営状況を信用して
付き合うことができるといえます。

一方、個人事業では、
財務状況や経営状況が把握しにくくなっている部分もあり
取引先に対しても、株式会社に比べると信用度が低くなる
という可能性もあります。

これまで、色々な面でみてきましたが、
やはり対外的な信用度は株式会社の方が高い
といえるのではないでしょうか。

2.決算月を自由に決められる!

個人事業主は、1月~12月までが事業年度と決まっていて、
翌年2月1日から3月15日までに申告・納付し、確定申告します。

つまり、個人事業主の決算月は12月です。

一方、株式会社の事業年度は、
1年以内の期間ならいつからいつまでにするか自由に決められます。

例えば、国の事業年度は4月1日から翌年の3月31日までで、
3月決算です。

そこに合わせる会社もありますし、そうでない会社もあります。

つまり、株式会社の場合は自由に決算月を決められるので、
1月~12月のどの月にすることもできます。

決算月を自由に決められるメリットは色々とありますが、
その中でも、売上(利益)が最も多く見込まれる月やその直後を避けられる、
ということが一番ではないでしょうか。

これは、どういうことかというと、
最も多く売上(利益)が見込まれる月やその直後を決算月にしてしまうと、
税務上の対策を打つための時間的余裕がないということです。

そのため、多くの税金を支払わなければならない・・・
という恐ろしいことが起こるかもしれません。

ですので、会社の売上が多く見込まれる月がある程度わかっている場合には、
決算月を会社の繁忙期や売上が多く見込まれる月と避けて決める、
ということが重要になります。

ビジネスプランをきちんと考え、株式会社を設立すれば、
節税対策をしながら事業を行うことができるので、大きなメリットになりますね。

3.資金調達がしやすい!
株式会社は、会社を設立した後も資本金を増やすことができます。

これを増資といいますが、増資する際は、
新しく株主を募集し、出資してもらい、新しく株式を発行します。

このように、株式会社は自ら資金調達ができるので、
これは大きなメリットの一つと言えます。

4.従業員の募集が有利!

平成18年5月から施行された新会社法によって、
取締役1名でも株式会社は設立できるようになりました。

これにより、経営者自身が取締役となって、
たった一人でも株式会社が作れるようになったのです。

事業が円滑に進み、軌道にのってきたので、
従業員を雇おうと考えた際、個人事業主より株式会社の方が募集が有利です。

雇われる側の立場に立てば、個人事業より
安定したイメージのある会社を選択する方が多いのではないでしょうか。

フリーランスが多くなってきたとはいえ、
まだまだ安定志向を求める方は多いのが現状です。

同じ労働時間で、同じ業務内容なら、
個人事業より、安定したイメージのある株式会社の求人に応募する、
という方も多いと思います。

また、社会保険完備(厚生年金保険、健康保険)の株式会社を選ぶ
応募者が多いのも事実です。

したがって、よりよい人材を確保できるということは、
株式会社設立のメリットになります。

5.出資者の責任が有限責任!
株式会社は有限責任で、個人事業は無限責任です。

まず初めに、有限責任とは何か?というと、
出資者は、出資した金額の範囲内で責任を負うということです。

例えば、Aさんが150万円、Bさんが50万円出資して、
資本金200万円の株式会社を設立したとします。

そして、その会社が3000万円の負債を抱えて倒産してしまったとします。

しかし、株式会社は有限責任なので、
AさんはAさんの出資分150万円、BさんはBさんの出資分50万円のみ、
責任を負えばいいということになります。

つまり、Aさんは出資した150万円、Bさんは出資した50万円が
返ってこないということになります。

このように、株式会社の場合は、有限責任なので、
出資した金額以上の責任は負わなくてもいいということですが、
個人事業の場合は、無限責任なのでそういうわけにはいきません。

では、無限責任とは何か?というと、
出資した以上の責任を無限で負うことになります。

つまり、事業の負債は個人の負債とみなされ、
最後まで自腹を切ってでも返済しなければいけないのです。

万が一、株式会社が倒産してしまっても、
株式会社の場合は、再起不能にならずに
再チャレンジできる可能性もあります。

ここまで、5つの株式会社設立のメリットをみてきました。

前回詳しくお伝えした【節税面でのメリット】を合わせると、
6つのメリットをお伝えしました。

いかがでしたか?

もちろん、株式会社設立のデメリットもいくつかあります。

個人事業主の方が法人化を検討する際には、
メリット・デメリットをきちんと理解することが重要です。

そして、理解したうえで、ご自身の現状と今後のビジネスプランを考え、
株式会社を設立するかどうかを考えましょう。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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