銀座起業コンシェルジュの若林圭子です。
最近ご相談いただく中で、
大変よく聞かれることがあります。
「株式会社と合同会社の違いって何ですか?」
「一体自分は、株式会社と合同会社のどちらを設立すればいいのでしょうか?」と。
起業を目指す方や、現在個人事業主で法人化を検討されている方は、
「合同会社」という会社形態をご存じの方も多くいらっしゃると思います。
ただし、実際のところ、「合同会社は株式会社と何がどのように違うのか?」
と言われても、「よくわかりません。」「設立手続きにかかる費用が違うとか?」
などと曖昧で、明確に理解している方は少ないかもしれません。
そこで、今回は株式会社と合同会社の主な違いを6つ以下に述べました。
それでは、一つ一つ具体的にみていきましょう。
1.株式会社より合同会社の方が設立費用を抑えられる!
株式会社を設立する際にかかる登録免許税は15万円です。
一方、合同会社を設立する際にかかる登録免許税は6万円です。
これだけみても、かかる費用はかなり違います。
また、株式会社を設立する際、公証役場で定款認証をする必要があり、
その際に払う認証手数料等が約5万2千円かかります。
一方、合同会社は定款を認証する必要がないので、
認証手数料などを支払う必要がありません。
このようにみてくると、設立手続きにかかる費用がかなり違うといえます。
2.合同会社の役職名は「代表社員」!
株式会社には、役職として「取締役」・「代表取締役」・「監査役」などがあります。
一方、合同会社には「取締役」・「代表取締役」といった役職は法律上存在しません。
では、合同会社の代表者はどのようになるのか?というと「代表社員」になります。
私がサポートさせていただいたお客様の中にも、
合同会社の代表者は、「代表取締役」と名乗れないということを初めて知り、
大変驚かれる方もいます。
したがって、合同会社の場合、名刺には株式会社のように「代表取締役」
とは名乗れませんので、注意が必要です。
3.合同会社より株式会社の方が信用力がある!
株式会社は合同会社に比べて、やはり高い信用力があります。
実際には、大規模な合同会社やすばらしい実績がある合同会社もあります。
しかし、合同会社は株式会社より社会的な認知度が低いという面で、
取引において警戒されてしまう可能性はあります。
また、株式会社の場合は融資を受ける際、有利に働くということもあります。
4.合同会社は決算公告の義務がない!
株式会社を設立すると決算公告の義務があります。
では、「公告とは何か?」というと、
会社から株主やその他の利害関係者などにする「お知らせ」のことです。
このお知らせである公告を、決算の度にするのが、株式会社です。
公告をする方法には、官報(国の機関紙)、日本経済新聞、電子公告(インターネット公告)
などがありますが、いずれも費用がかかります。
一方、合同会社には公告の義務がありませんので、
このような費用はかからないということになります。
5.合同会社の場合、資本金の出資者が「社員」!
これはどういうことかというと、通常「社員」というと、
会社の従業員のことを思い浮かべると思いますが、
合同会社の「社員」は従業員の意味ではありません。
合同会社の「社員」は、会社にお金を出した出資者のことです。
つまり、株式会社でいうところの「株主」にあたります。
株式会社の設立を企画して、その会社に出資して、
設立手続きを完了する人のことを「発起人」といいますが、
会社が設立した後は、発起人は「株主」という名前になると
イメージするとわかりやすいと思います。
合同会社の「社員」は、この「株主」と同じような意味になります。
6.合同会社には役員の任期がない!
株式会社の取締役の任期は、
株式譲渡制限会社(全ての株式に譲渡制限に関する規定がある会社)の場合は最大で10年、
譲渡制限がない会社の場合は2年の任期になります。
監査役の任期は、株式譲渡制限会社の場合は最大で10年、
譲渡制限がない会社の場合は4年の任期になります。
一方、合同会社の役員には、任期がありません。
株式会社の場合、役員の任期が満了するごとに、
役員変更登記の必要があります。
例えば、任期2年の役員の任期が終わり、
また同じ人物が引き続き役員になるにも関わらず、
法務局で手続きしなければなりません。
その度に手間と費用がかかりますが、
合同会社では役員の任期がないので、このような手間や費用は必要ありません。
いかがでしたか?
今回は、株式会社と合同会社の主な違いを6つお伝えしました。
「株式会社と合同会社って、色々と違うところがあるな・・・」
と思われたのではないでしょうか?
違いと共通点を知ったうえで、「株式会社と合同会社のどちらを設立するか?」
を考えることが、大変重要です。
次回は、株式会社と合同会社の共通点をみて、
さらにそこから、設立のポイントについてもお話ししたいと思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。