事業目的の数は多い方がいいのか?

蛍光ペン

銀座起業コンシェルジュの若林圭子です。

株式会社を設立する際、必ず決めなければならないことの一つに、
「事業目的」があります。

株式会社は定款に記載した事業目的だけを行えるので、
事業目的を決める際には注意が必要です。

なぜなら、逆に言うと、
定款に記載していない事業は行うことができないからです。

そのため、「将来やる可能性がある事業は全て定款に記載すればいいのか?」
というと、決してそういうわけではありません。

そこで今回は、
事業目的の数の決め方のポイントをみていきたいと思います。

事業目的は、何個までしか書けないという制限はないので
やりたい事業があれば、いくらでも書くことができます。

私のお客様にも、事業目的を40個書いてきた方がいました。

その方は、最初インターネットで調べて、
自分で株式会社の設立手続きをしようとお考えになったそうなのですが、
ご自身のビジネスが忙しくなってしまったので、
自分で手続きする時間がないということでご依頼になりました。

私がこれまで株式会社の設立をサポートさせていただいた方の中でも、
後にも先にも40個事業目的を書いてきた方はこの方だけです。

それくらい多い事業目的の数でした。

私はそこで、聞いてみたのです。

「なぜ、事業目的を40個書いてきたのですか?」と。

すると、「インターネットに、将来やる可能性がある事業は
全て定款に記載しておいた方がいいと書いてあったからです。
だから30年後やるかもしれないビジネスについても書いておきました。」と。

事業目的を変更しようと思うと、登録免許税が3万円かかります。

そして、変更する旨の書類を作成し、法務局に提出しなければいけません。

もし、その手続きを専門家に依頼したら報酬もかかります。

なので、インターネットを調べると確かに、
「変更するとなると手間やお金がかかるので、
将来やる可能性があるものはなるべく記載したほうがよい」
というようなことが書いてあることも多いです。

だからといって、何でもかんでもやる可能性があるものを
事業目的に記載すればいいのか?というとそういうわけではありません。

では一体それはなぜでしょうか?

会社を設立すると、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)を取得することができます。

この履歴事項全部証明書ですが、誰でも取得してみることができます。

これには、例えば、本店所在地はどこか?
代表取締役は誰で、取締役は何人か?資本金はいくらか?
などの会社の重要な情報が載っています。

もちろん、事業目的も載っています。

新規で取引しようとした場合、相手の会社の履歴事項全部証明書を取得して、
相手の会社の情報をみるということはビジネスをやるうえで、
多くの場合することだといえます。

そこで、履歴事項全部証明書をみて、
「この会社はどんな事業をやっているのか?」と確認した際、
事業目的が40個あったらどうでしょうか?

「一体、この会社は何をやっている会社なのか?」
と不信に思われる可能性があります。

事業目的が多すぎると、
会社の事業が不明確になってしまい、
それが相手に対する不信感につながることもあります。

したがって、取引先に余計な不信感を与えないためにも
事業目的の数はあまり多くしすぎないようにしましょう。

また、あまりにも多すぎる事業目的は、
融資にも影響するので注意が必要です。

融資を受ける際、融資先の金融機関に提出する書類の一つに、
履歴事項全部証明書があります。

その時に、事業目的が40個あったらどうでしょうか?

「この会社、事業目的が多すぎて、何やっている会社かわかりにくいな、
よくわからない会社にお金は貸しにくいな・・・」
と思われる可能性もあります。

せっかく融資を受けようとした際、
多すぎる事業目的が原因で融資がすぐに受けられないということになっては、
もったいないですよね。

したがって、融資をお考えの方も
あまりにも多すぎる事業目的には注意が必要です。

ここまでで、「事業目的の数が多すぎるのはよくないことはわかったけど、
では一体何個くらいにすればいいのですか?」
とのお声が聞こえてきそうですね。

事業目的の数を決めるには、自分のビジネスプランをきちんと考え、
そこから逆算して考えることが必要です。

そして、今後行う予定の事業を視野にしれながら
目的の数を決めてください。

目安が10個くらいでしょうか。

つまり、一番大切なのは、自分のビジネスプランから逆算して、
事業目的を考えることです。

最初に例であげたお客様は、その後どうなったでしょうか?

最初40個あった事業目的は、最終的に何個になったでしょうか?

私は40個の事業目的をみながら、その方にヒアリングしました。

「3年後、5年後、10年後やりたいビジネスは何ですか?」と。

そして、専門家として、私も文言をまとめたり修正したりして、
最終的には12個になりました。

すると、その方は大変喜んでくださいました。
「自分のやりたいビジネスが明確になりました、ありがとうございます。」と。

事業目的が多すぎると、
自分のビジネスの方向性を見失ってしまうこともあります。

なので、自分のビジネスプランから逆算して、
事業目的を決めるということが大変重要です。

これにより、自分のビジネスが明確になり、
いいビジネスのスタートが切れるポイントの一つになります。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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